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水玉区切り

作りたいのは、「自分のため」が「誰かのため」になる“幸せの循環”。 編み物作家 兼 フリー管理栄養士 菅野香澄さんインタビュー

掲載日  2022年9月2日

執筆者  一般地域ライター

「自分の好きなことを仕事にできたら…」

こんな風に考えたことはありませんか?
自由が高く、育児との両立が叶いそうな「フリーランス」という働き方。自分の得意分野を活かして収入を得られたら…と思いつつも、なかなか踏み出せない方、多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、2人の女の子を育てながら、フリーランスとして編み物作家と管理栄養士を約3年間続けてこられた菅野香澄さん。もともと編み物の経験があったわけではなく、フリーとして活動しようと決めていたわけでもない香澄さんが、どんな想いでどんな取り組みをされているのかを伺いました。

彼女の働き方や言葉の数々が、あなたの人生を変えるヒントになるかもしれません。

きっかけは、「わが子のために」という想いから。

――早速ですが、現在の仕事内容を教えてください。

メインは、編み物作家とフリーランスの管理栄養士の2つです。
編み物作家として子ども用帽子や小物類などを作る傍ら、フリーの管理栄養士として発酵調味料を使ったオンラインの料理教室を継続的に開催したり、カフェで健康ランチを提供したりと、食育にも取り組んでいます。


(編み物作家ru-mamaとして販売している商品)


(オンライン料理教室の様子。長女と一緒に。)

――2つも!すごいですね。2人の女の子のママでもある香澄さんが、子育てもしながら新たに活動を始められたきっかけというのは?

私は青森県出身で、総合病院の管理栄養士として7年ほど勤務していたのですが、夫の転勤を機に退職し、岩手県大船渡市に引っ越してきたんです。
最初の1年くらいは特に何の仕事もしていませんでしたが、ふと「手作りで子どものために何か作りたいな」と思って、試しに見よう見まねで作った帽子をわが子にかぶせてみたんです。そうしたら可愛くてハマっちゃって。

――もともと「フリーランスとして活動しよう」という想いがあったわけではなく、「わが子のために」という想いから始まっていたのですね。

そうなんです。Instagramに投稿していた写真を見た友人からの「売ってみれば?」という言葉を機に、ハンドメイドグッズを販売できる「minne」に出品してみたら、購入してくれる方がいらっしゃって。
そこから楽しくなって、スマホで得られる情報を頼りに岩手県内の販売イベントを探しまくり、見つけたイベントに出店するようになりました。今では、InstagramやLINE@での情報発信をしつつ、北上や花巻から青森まで活動範囲を広げ、委託販売やイベントへの出店を行っています。

――ちなみに、編み物はどれくらいの数を作っているのですか?

数にすると…累計1000個以上は作っています(笑)
コロナ禍で難しい時期もありましたが、月1回は販売のためのイベントに出たいなと思っていて。イベント1回あたり、60~80個くらいの帽子を用意していきます。
帽子以外にも、ヘアクリップやヘアゴム、カバンなども作るので、それも合わせたら毎回100個以上になりますね。

――累計1000個以上!Instagramも拝見しましたが、1つ1つ本当に可愛らしく丁寧に作られていますよね。それだけの活動をしながら、フリーランスの管理栄養士もやってみようと考えたのですか?

編み物作家としてデビューした頃、管理栄養士の仕事はお休みしていました。でも、子どもが育ってきた時に「食育」への興味が高まってきて。自分の経験や知識は、周りのママさんの助けになると気づいて、「会社に勤めなくてもできることはある。自分のやりたいことをやろう」と決意しました。

誰もがぶち当たる「失敗」の壁。乗り越えるコツは、とにかく○○をすること。

――編み物作家としてデビューした約半年後に、フリーランスの管理栄養士としても活動をスタートされていますよね。2つを両立していく中で、しんどい時期はありませんでしたか?

もちろんありました。編み物が思うように売れなかったり、管理栄養士として開催した料理教室に人が来なかったり…失敗なんて、しょっちゅうです。

――失敗も沢山経験されてきたのですね。一体どうやって乗り越えてこられたんですか?

上手くいかない時は、とにかく夫にグチを言いまくっています(笑)
うんうんと聞いてもらって、自分が言いたいことや思っていることを話しきると、考えが整理できたり、新しいアイデアが降ってきたりします。じっくり考えながら言葉にしたい方には、紙に書き出すのもおすすめです。

例えば、編み物としては値段設定が上手くできていなかったな、料理教室では「なぜそれが必要なのか」が伝わらなかったな、といった反省が見えてくるので、次に活かしています。

――うまくいかない時は、人でも紙でもいいから気持ちを言葉にしてみる…誰にでも取り入れられる素敵な方法ですね。

「自分のため」が「誰かのため」につながる“幸せの循環”を作りたい。

――失敗してもくじけない、バイタリティ溢れる香澄さんの取り組みの背景には、何か想いがあるのでしょうか?

私がフリーランスとして2つのことを続けられているのは、「まずは自分が満たされている」ことを大切にしているから。誰かのためにという想いも大切ですが、自分自身が満たされてはじめて、ママとしても女性としても、人に優しくできると考えています。
以前は、スケジュール管理ができずに子どもに八つ当たりしてしまったこともあって。今は、「子どもとの時間」を第一に確保し、どんなに忙しくても仕事を持ち込まないようにしているんです。

編み物なら、自分が子どもにかぶせたいと思えるものを作ってみる。そうすると、子どもも周りの大人も笑顔になってくれて。こうやって、「自分のため」が「誰かのため」につながって、“幸せの循環”ができていったらいいなと思っています。

――自分のためが誰かのためになる…すごく響きました。1人1人が自分を幸せにして、少しずつ周りに幸せの輪をつなげ、広げていけたら。考えるだけで、ワクワクしてきます。

モヤモヤしたまま、一歩踏み出してみよう。

――香澄さんの生き方、本当に素敵で憧れます。一方で、なかなか最初の一歩を踏み出せないママさんも多いのではないかと思うんです。最後に、何かアドバイスを頂けないでしょうか。

大切なのは、やる前から諦めないことですね。
無名だからできないんじゃないか…といった不安はもちろんあるでしょう。それでも、「やらない後悔より、やる後悔」です。モヤモヤしたままでいいから、突き進んでほしい。
どうしても一歩を踏み出せない時には、私に相談してもらえたらと思います。

――私なんかは、つい「できない理由」を考えてしまいがちなんですが、やってみないとそもそも始まらないですよね…ぐさりと来ました(笑)
踏み出すのがどんな一歩であったとしても、不安が100%払拭されている状態なんて、めったにない。だからこそ、その気持ちを受け入れて進むのが大切だということですね。

自分の気持ちを否定するのではなく、受け入れる…なんだかそっと背中を押してもらえたような気分です。本日はありがとうございました!

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今後は、子どもだけでなくママの食育活動もしていくことで、親から子へと食育が伝わるようにしていきたいと語る香澄さん。

「わが子のために手作りのものを」という想いから始めた編み物作家、「自分の知識が周りのママにも役立つからやってみよう」と挑戦したフリーの管理栄養士、どちらも身近なところからスタートしているのが印象的でした。

人に気持ちを話してみる、紙に考えを書き出してみる、好きなものを作って発信してみる…どんな些細なことでも構いません。
あなたの好きなこと、やってみたいことは何ですか?

取材・文/高橋ひとみ