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水玉区切り

ママは昼からビール飲んでも、家族が元気ならO K! ありのままの子どもを受け止め、笑って過ごす場所をつくる。 障害児ママ支援団体 とまり木 山崎 友里絵さん インタビュー

掲載日  2022年8月29日

執筆者  一般地域ライター

我が子は、他の子どもと違うのかもしれない。
言葉が遅かったり、周りがよく見えていないような気がしたり。
親なら誰しも、一度は考えたことがあるかもしれません。

今回お話を伺ったのは、大船渡市に住む、山崎 友里絵さん。小学4年生の長男と、特別支援学校の小学部3年生の双子(次男三男)を育てるママです。

ケラケラと軽やかに笑いながらも、子どもたちの未来を見つめる目はとても冷静。お話していると、その人柄に惹かれ、どんどん引き込まれていきます。

以前は、重度の知的障害を持つ子どもたちを育てることに、様々な苦悩を抱えていた山崎さん。同じ境遇のママたちと集うイベントを開催したり、子どもたちの個性を活かした遊び方を工夫することで、気持ちが前向きになっていったそうです。

ありのままの子どもを受け止め、自分も楽しむ! そう思えるまでに、どんな葛藤があったのでしょうか。

障害児のママだから、常に笑顔で、身だしなみはキレイに。以前はいつも、気を張り詰めていました。

――これまで、どのような活動をされてきたのか教えてください。

新型コロナウイルスが感染拡大する前は、障害児のママと集まって話すカフェイベントを開催していました。小児科の先生を呼んで、質問大会をしたことも。

障害を持つ子ども特有の悩みもあるので、同じ想いのママたちと話したくて。特に、まだ子どもの障害の診断がハッキリしない場合、小学校をどうするか、悩むママは多いです。特別支援学校に入れるのか、小学校の普通学級なのか、支援学級なのか・・・。

ただ皆で話しましょう、と言ってもなかなか言葉が出なかったりしますが、手芸のワークショップをしながらだと、たくさん話が出たりもしますね。夫のグチを言い合ったり(笑)

ママにもガス抜きできる場所が必要なんです。ママがカリカリすると、子どももカリカリしちゃうんですよね。逆に、ママがポジティブな気持ちでいると、子どもも急に成長することがあって。だから、子どものためにも、自分が元気でいられるように、月1回でも楽しみを持つようにしています。

コロナでカフェイベントが出来なくなってからは、子どもの絵を使った雑貨やTシャツの販売をしています。キャッセン大船渡では、鬼椿市民雑貨店に置いてもらったり、イベントにも出店させてもらいました。


(障害児のママが集まる「off cafe」の様子。右から2番目が山崎さん)

――忙しそうですが、いつもキレイでオシャレ、という印象です。

わ〜、ありがとうございます! 子どもに知的障害がある、と分かった時に、自分にできることをすごく考えたんですよね。他のママより、子どもが迷惑をかけて謝る機会が多いと思うんです。その時に、ボサボサの格好で謝るよりは、清潔感がある格好で謝ったほうが、印象が良いんじゃないか、とか。

人との距離感について、本を読んで研究もしました。女性は同性に対して、ボーイッシュな女性の方が接しやすい、と書いてあって、髪もショートカットにしたんです。

子どもが集まっている場所で、自分の子どもは話すことが出来ないので、他の子とうまく遊べないこともあります。そういう時は、他の子と私が仲良くなってしまおう、と思います。だから当時は、一歩外に出たら常に笑顔で、身だしなみはキレイに、と気を張り詰めていましたね。

やっと、ありのままの子どもたちを、自分自身が受け入れられるように。

――子どもたちが絵を描いたり、料理を一緒に作ったりする様子をInstagramで発信されていますよね。とても楽しそうです!

新型コロナウイルスの感染が広がってきたので、人が集まる場所には行かなくなりました。
子どもたちが通う支援学校には、持病がある子もいるので、特に気をつけています。

外に出ないとストレスが溜まるので、「好きに描いていいよ!」って絵を描かせたりしました。うち、賃貸なのに壁いっぱいに絵が描いてあるんですよ!家の中なら他人に気を使わないし、子どもたちを怒ったり、無理に制限することもしなくていい。というか、あきらめました(笑)

以前は、子どもにも毛玉がついた服は着せなかったし、身だしなみだけはキレイに、と常に人目を気にしていました。でも今は、布用の絵の具でぐちゃぐちゃに絵を描いた服も、学校に着せていく。「この子はこの子で、好きなことをやってるんだ。人からどう見られるかばかり気にして、子どもの好きなことを隠さなくても良いんだ」と気付いたんです。

やっと、自分自身が子どもたちを受け入れられるようになったと感じます。子どもたちは怒られずに好きなことをして、ママは昼間からお酒飲んで、一緒に楽しむ。家族が元気なら、それでいいじゃない、と。

――気を使いすぎるのをやめよう、と吹っ切れたんですね。

頑張りすぎずに力を抜くことで、子どもたちにも笑顔で接することができるようになりました。特に、これまで下の子たちにかかりっきりで、長男はかわいそうだったなと思います。寂しい思いをさせてしまいました。保育園でもストレスで暴れたりして、先生から「ちゃんと話を聞いてあげてますか?」と言われた時は、ドキッとしましたね。

最近では、弟たちに障害があることが、長男にとって良い部分も出てきたんです。他の子たちとの接し方を見ていても、出来ないことをバカにしない。人には出来ないことがあって当たり前、という考え方を持ってくれたみたいです。

子どもが大きくなった時に、障害があっても好きなことを仕事にして欲しい。

――これからやってみたいことはありますか?

もっと、自然の中で子どもたちを育てたい、という思いがありますね。私自身、中学生で不登校になった時に、ほぼ毎日祖父母の牧場で過ごしていて。祖父母は学校に行かないことを責めずに、牛の世話など役割を与えてくれました。自然の中で過ごしたことで、今まで辛いことがあっても、ずいぶん心が救われたし、生きていく自信になりました。

子どもたちにも、色々な世界を見せてあげたいんです。自然の中なら、ダメって言わなくてもいいし、ケガしても、それも勉強。知的障害で言葉が理解できなくても、畑で野菜が種から育っていく様子を見て、感じられるものはあると思うんですよね。

ゆくゆくは、祖父母の牧場を使って、カフェや畑をやったり、火起こしとかサバイバルな体験が出来たり。そういった公園みたいな場所を作りたいなと思っています。周辺の地域の人たちにも手伝ってもらいたいですね。現状、障害者が働ける仕事は限られていますが、子どもたちには好きなことで働ける場所を作ってあげたいなと思います。

それもあって最近は、子どもたちを地域の行事に連れていくようにしています。公民館の掃除とか、子どもがいると効率は悪いんですけど、大切なことだと感じていて。

知的障害者は、子どもの時は良いんですけど、大人になると「気持ち悪い」と思われてしまうかもしれない。それでも、小さい時から知ってる子だったら、優しく見守ってもらえるかなと思って。大きくなった時に、自分がいなくても安心して過ごせるように、今のうちに地域に関わるようにしています。子どもたちには、障害の有無に関係なく、自然の中でのびのびと、自分らしく生きてもらいたいです。

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障害だけではなく、世の中には、肌の色が違ったり、身体・知能に人と違うところがあったりと、様々な「違い」があります。それにより、子ども自身が辛い思いをしたり、ふいに放った言葉で、人を傷つけてしまうことがあるかもしれません。

山崎さんのお話を聞いて、子どもたちの将来への、熱い想いに圧倒されました。
それと同時に、我が子が今後、どんな人と出会うのか、そこで何を感じ、どう共に暮らすのか。自分自身も1人のママとして、多様性をより深く考える、大切なきっかけになりました。

これから先、自分の子どもがどんな困難に直面するのかは、誰にも分かりません。でもその時に、親としてどう受け止めて、支えてあげられるのか。

「出来ないことがあって当たり前。人と違って当たり前。」
「子どもの全てを受け止め、ママは笑って、その子らしく生きる場所をつくる。」

山崎さんから発せられる言葉の数々には、全ての親の背中を押す、力強いメッセージが溢れていました。

取材・文/たねやん