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水玉区切り

キミの幸せを、増やしたい

掲載日  2022年8月27日

執筆者  kana

曲げた腰を伸ばし、汗ばむ額をぬぐったのは、5月のこと。どうしてもトマトを食べない息子にこの美味しさを知ってほしい。その一心でトマト栽培を始めることにしました。
1歳の息子が3人は入りそうなプランター。そこに流し入れた大量の培養土。息子の小さな手で楽しく収穫できるように、選んだのは赤と黄色のミニトマト。畑作りが得意な実父にテレビ電話までして、いっぱしのプランターが完成。なかなかの重労働でした。

せっせと水をやり、脇芽をかき、愛情を注ぎ、最初の1粒が色づくまで2か月弱。
息子は人生初の収穫チャレンジ!プチっと嬉しそうにもぎ取る息子。さて、いざ実食!

ペッ!ポイ……。
「だ、だよね~。そんなにすぐ食べられるもんじゃないよね~……」と言いつつ心底がっかり。

私がここまで頑張るのは「食」に対するある思いがあったからです。

「美味しい」は人を幸せにする。仕事で教えてもらったその力

「沢山の人を笑顔にしたい」いつもそう思いながら、グラフィックやアパレルデザインという「食」とは無縁の道を進んできた私。お客様の笑顔が見えにくい仕事に歯がゆさを感じ、もっと沢山の人に会える仕事はないだろうかと考えるようになりました。そこで30歳を目前に一念発起。全く未経験の飲食業にチャレンジしたのです。

いざ飛び込んでみると、驚きと感動の連続でした。店には多くの人が大切な人と足を運び、出された料理の美しさ、美味しさに喜び、笑顔で温かい空気になる。私が求めていた人々の幸せな瞬間が、そこかしこで咲くのです。

出される料理は特別な高級品ばかり使っているわけでもなく、地元食材の美味しさを活かしたものばかり。時にはシェフたちと一緒に農家さんの畑を訪れて、採れたての野菜をかじることも。それが美味しいこと!

私自身も、どんなに疲れていても美味しいものを食べると元気が出ました。
そしてその「美味しい」は「食で人を幸せにしたい」という生産者、シェフ、スタッフたちの気持ちから作られていることも知りました。

美味しいものは、元気が出る
美味しいものは、笑顔になる。
美味しいものは、幸せになる。

私は「美味しい」の持つ力を改めて実感したのでした。

結婚し子供が産まれた今。
私は、目の前にいる一番大切な人、息子にこの「美味しい」の力を伝えたいと考えるようになりました。息子が大好物を食べた時のニコニコ笑顔と、幸せそうに小躍りする姿をたくさん見たい。店で見たお客様たちのように。

ミニトマトを植えて3か月が経った頃です。その日は息子から受け取った採れたてのミニトマトを、パッと口へ放り込んでみました。

パクッ!モグモグ……ゴックン!ニコニコ!

そうそう!この笑顔!この笑顔を、私は見たかったんだ!
潤んだ瞳をごまかしながら、トマトを口に運び続ける私。

キミの幸せを、ママは一つ増やせたかな?

この夏、息子は残りのプランターのトマトを全部たいらげたのでした。

ライター

kana

住田町在住、1才男児のママ。オシャレ、アクセ作り、裁縫、読書、子供のオモチャ作り……とにかく多趣味です。実はバイクも好きで、1人で三重県鈴鹿市までレース観戦に行くほど。自動二輪免許も持っていますが運転は苦手です。