人々の想いをのせて、今日もはしれ! ~三陸鉄道の子連れ旅 盛駅から鵜住居駅へ~
掲載日 2021年7月26日
執筆者 Michi
平成から令和へ……。三陸鉄道も新たな時代を迎えていた……。北リアス線(久慈-宮古)、南リアス線(釜石-盛)ともに震災で甚大な被害を受けた三陸鉄道。しかし、2019年3月、JR山田線(宮古-釜石)を引き継ぐ形で大復活をとげたのだ。「リアス線」として生まれ変わった全長163㎞のこの路線は、今再び、地元の人々の足となって走り出した。〈オープニングテーマ♪〉
……と、こんな壮大なドキュメンタリーではなくて、今日は私の乗車日記をお伝えしようと思う。
三陸鉄道との出会いは青春時代
なぜここまで私が三陸鉄道に思いを馳せているのか。それは中学・高校の通学で6年間も利用していたから。私の青春は三陸鉄道なしには語れない。たまにレトロ調の豪華な内装車両に乗れたときは、もうテンションMAX。まるで、貴族。それぐらい普通車両とは別格なので、いつもの売店のお菓子もグレードアップしないとねってな感じ。友達との恋話も一段と盛り上がった。
いざ親子で「リアス線」の旅へ
2019年春、いよいよ新しくなった「リアス線」に乗車する日が来た。盛駅から鵜住居駅(釜石市)までの1時間13分。子ども2人(0歳と5歳)を連れての鉄道の旅はこれが初めて。不安と期待でいっぱい。切符の料金は、なんと大人1人分だけ。未就学児は無料!
この日は、幸運にもレトロ車両と普通車両の2両編成だった。もちろん、レトロ車両へゴー。盛駅は始発なので、ゆっくりと席を選べることがメリットだ。でも、もうすでに同じ考えの乗客が景色の良い海側(進行方向の右側)の席を埋めてしまっている。休日は乗車率が高いようだ。
赤ちゃん連れは荷物も多いので座席の確保は必須である。抱っこひもでそのままっていうのもありだけど、席で寝かせられたら助かる。ただし、寝返りし始めたら難しいかな……。そんなことを思いながら山側のボックス席に着いた。
5歳児は座っていられず通路を行ったり来たり。歩き回る我が子を座らせる手段はこれ、写真を撮る!撮りまくる!最後の頼みはお菓子様~♪運転士室の隣の空きスペースには運転手の帽子をかぶって遊べるコーナーもあるみたい。
やっと出発の合図。この音を聞くと一気に青春時代に戻った気分になった。
※高級感ある肌触りのよい座席。いつもと違う寝心地にキョロキョロ。
「リアス線」の車窓からみた景色
窓からの眺めは、見慣れた山の緑も海の青も新鮮そのもの。桜が咲く季節はピンク色も追加されるんだろうな。リアス式海岸の入り組んだ複雑な海岸線がはっきりと見てとれる。なんて、神秘的な景色。
時折、絶景ポイントでは徐行運転のサービスがある。一斉に写真を撮り始める観光客。トンネルも多いけど、汽笛と同時に真っ暗になる景色を5歳児は楽しんでいる様子。私は缶コーヒーをゆっくりと飲む。家族が向き合って座ったままの移動や、ぐずった赤ちゃんをすぐに抱っこしてあげられるのも素敵だ。
あっという間に鵜住居駅に到着。走り出す三陸鉄道に向かって、5歳児が手を振った。すると、乗客が一斉に手を振り返してくれた。たくさんの乗客たちが、さも当たり前のように。なんだろう、感動する……また会おうね!って、私も何度も何度も手を振っていた。
真新しい駅舎の鵜住居駅。それは、震災の被害が及んだという証拠でもある。改めて願う、どうかこの教訓が次の世代にも受け継がれますように……。
駅内のお土産店で手作りかまぼこを買い、その場でパクリ。5歳児は定番のソフトクリームをぺろり。
子連れママにとって三陸鉄道の魅力とは!!
・子どもとゆっくり景色を楽しめる。絶景ポイントでは徐行運転なので立ち見での撮影が可能。
・乗客との一期一会の出会いがある。混み合っていると相席をお願いする人もいるし、外国からの観光客にも出会え、異文化交流を楽しむこともできる。
・観光ポイントの駅(恋しが浜駅)では、一時降車できる時間帯も。
残念だったのは、たった1つだけどトイレにおむつ替え台が無かったこと。でも車いす対応のトイレなので、ベビーカーを持参するのが良さそう。今回の旅では、隣の乗客に「ここで替えちゃいなさい」って声をかけてもらい、お言葉に甘え(シートを敷いて)お尻を見せつけちゃったけどね……。これも異文化交流?(笑)